年末年始は長期休暇が重なることもあり、クリスマスやお正月など、さまざまなイベントが増える時期です。
自宅で集まりを開く場合、わんちゃんも一緒に過ごす機会が多くなるでしょう。
楽しい思い出になる一方で、冬や年末年始は犬の誤飲・誤食などのトラブルが増えやすい時期でもあります。
実際にこの時期、動物病院では誤飲や誤食による受診が増える傾向があります。
では、年末年始に特に起こりやすい愛犬のトラブルには、どのようなものがあるのでしょうか。
【記事監修】葛野 莉奈先生プロフィール
かどのペットクリニック(神奈川県横浜市青葉区)


先生から読者のみなさんへメッセージ
「もっとこんなことを知っている飼い主さんが増えたらいいな」
「こんなことで悩んでいるたくさんの方の力になれたらいいな」
普段の診療の中で感じたことを、文章にまとめました。
少しでも多くの方のお役に立てたらうれしいです。
獣医師としてだけでなく、いち飼い主としても、皆さんと知識を共有しながら、動物たちとの生活がより充実するお手伝いができたらと思っています。
誤飲・誤食|年末年始に特に多い愛犬トラブル
年末年始はお祝い事が多く、わんちゃんにとっても魅力的に感じるごちそうが並ぶ機会が増える時期です。
また、お子さんのいるご家庭では、クリスマスに贈られた普段見慣れないおもちゃのパーツや、飼い主さんの趣味で増えた器具・機材など、好奇心旺盛なわんちゃんにとって「おもちゃ」に見えてしまう物が室内に増えやすくなります。
こうした環境の変化により、年末年始は誤飲・誤食による動物病院の受診が増える傾向があります。

犬はどんなものを誤食しやすい?特に注意すべきもの
中毒性のあるものや、消化管を傷つけてしまう恐れのあるものは、もちろん口にするべきではありません。
しかし、一見「大丈夫そう」に思えるものでも、飲み込み方や食べた量によっては消化器に負担がかかり、トラブルにつながることがあります。
わんちゃんは年齢や性格によって個体差はありますが、好奇心旺盛な子が多く、口に入れて「どんなものか」を確認する行動をとりがちです。
特に、おいしい匂いがついているものや動くおもちゃの部品は、強く興味を引きやすいため注意が必要です。
年末年始に特に気を付けたいもの
- 鶏肉の骨
- 甲殻類(エビ・カニなど)の殻
- プラスチック容器や食品用ラップ
- 中毒を起こす可能性のある食材(ニンニク、玉ねぎ、チョコレートなど)
- 腸を通過しにくい大きさの小物
- 先端が鋭利な硬い小物
誤食によるリスクとは?
鶏肉や甲殻類、チョコレートなどのごちそうは、食欲旺盛なわんちゃんにとって非常に魅力的です。
しかし、鶏肉や甲殻類の骨や殻は、噛み砕く過程で鋭く割れることがあり、消化管を傷つけてしまう危険性があります。
また、先端が鋭利な小物も、消化管を通過する際に粘膜を傷つける恐れがあるため、誤飲・誤食は避けるべきです。
プラスチック容器やラップは、腸を閉塞させてしまう危険性があり、重度の場合や経過によっては腸の壊死など、命に関わるトラブルにつながる可能性もあります。
腸へ移行する前であれば吐かせる処置が可能なケースもあるため、早急な対応が重要です。
ニンニクや玉ねぎなどの野菜は、中毒を起こす食材としてよく知られています。
摂取量や症状の出方には個体差がありますが、赤血球を壊す作用があり、重度の場合は貧血を引き起こします。
軽度であっても、血色素尿と呼ばれる、赤血球が破壊された成分を含む尿が排出されることがあります。
チョコレート中毒では、神経症状に至る危険性もあるため、特に注意が必要です。
このほかにも中毒を起こし得る食材は複数あるため、わんちゃんが食べてはいけないものを口にしてしまった場合は、速やかに動物病院を受診することが大切です。
もし誤飲・誤食をしてしまった可能性があったら
誤飲や誤食をしてしまった場合、腸へ移行する前であれば、薬を使って吐かせる処置が可能なケースがあります。
そのため、少しでも可能性がある場合は、
できるだけ早く受診する
ことが望ましいでしょう。
万が一、異物による腸閉塞が疑われる場合には、麻酔下での外科的処置が必要となることもあります。
受診時には、
をできる範囲で確認し、メモなどにまとめて伝えられるようにしておくと安心です。
また、突然病院へ向かうのではなく、事前に電話で「誤食の可能性があること」「受診を希望していること」を伝えておくと、病院側との情報共有がスムーズになり、適切な受診タイミングの判断につながる場合があります。

まとめ|年末年始は誤飲・誤食に特に注意を
年末年始は、クリスマスやお正月などのイベントが重なり、室内環境や食事内容が大きく変化しやすい時期です。
その影響で、犬の誤飲・誤食トラブルは冬、特に年末年始に増えやすい傾向があります。
鶏肉の骨や甲殻類の殻、チョコレートやニンニクなどの中毒を起こす食材、プラスチック容器やラップ、小さなおもちゃの部品などは、いずれも命に関わる事故につながる可能性があります。
「少しくらいなら大丈夫」「普段は食べないから」と油断せず、わんちゃんの届く場所に置かない環境づくりが何よりの予防策です。
万が一、誤飲・誤食の可能性がある場合は、自己判断せず、できるだけ早く動物病院へ相談・受診することが大切です。
早期であれば吐かせる処置が可能なケースもあり、重症化を防げる可能性があります。
楽しい年末年始を安全に過ごすためにも、事前の予防と、いざというときの正しい対応を知っておき、愛犬の体調変化にいつも以上に気を配るようにしましょう。
