はじめに
みなさん、2度目まして。


犬と人とのコミュニケーションコーチ
JAHA認定:家庭犬しつけインストラクターの、井野めぐみです。
ー 2000年より6年間茨城県の動物病院で動物看護士として勤務。
ー 2007年家庭犬しつけ方教室DOGGY FRIENDSを発足
「どうしてうちの子、こんな行動をするの?」
――もしかしたらそれ、“性格”ではなく“本能”かもしれません。
犬はもともと「目的別」に育てられてきた動物。
国際的に分類される“犬種グループ”を知ることで、
愛犬の行動に「なるほど!」と納得できるヒントが見えてきます。
今回は、犬たちの本能を尊重した向き合い方や、
暮らしに活かせるポイントを分かりやすくご紹介。
あなたの愛犬らしさに、もっと寄り添える一歩になるはずです。
それでは第10回にわたって連載をおこなう、
コラム第2回目のタイトルをお楽しみください。
第2回:あなたの犬はどんなタイプ?
① あなたへの問いかけ:その行動、「性格」じゃなくて「本能」かも?

- 「うちの子、なんでこんなに吠えるの?」
- 「散歩中、地面の匂いばっかり嗅いでる…」
- 「ドッグランに行っても、全然遊ばないのはなぜ?」
もしかしたらその行動、犬種ごとの“本能的な傾向”が関係しているかもしれません。
今回は、「犬種グループ」を知ることで、愛犬の行動に納得できるヒントをご紹介します。
② ポイントと事実:犬は“目的別”に育てられてきた

犬は「10のグループ」に分かれている
世界の犬種は、国際畜犬連盟(FCI)により役割別に10グループに分類されています。
これは「見た目」ではなく「役割・本能」での分類。
つまり、「どんな仕事をしてきたか」に基づいています。
グループ名 | 特徴 | 犬種例 |
① 牧羊犬・牧畜犬 | 高い運動能力と知性を合わせ持つため退屈が苦手 | ボーダー・コリー、シェットランド・シープドック、ウエルシュ・コーギー、ジャーマン・シェパード |
② 使役犬 | 力強く運動能力も高く、警戒心が強い | ドーベルマン、グレート・ピレニーズ、ブルドック、土佐犬、ミニチュア・ピンシャー |
③ テリア | 独立心が強く単頭飼育に向く。警戒心が高く興奮しやすい | ジャック・ラッセル・テリア、ヨークシャーテリア |
④ ダックスフント | 勇敢で活発、吠えの問題がとても多い | スムース、ロング、ワイヤーの3種の被毛と、ミニチュア、スタンダード、カニーンヘンの 3サイズに分かれる |
⑤ スピッツ&原始的犬 | 非常に独立心が強く、単頭飼育に向き、暑さに弱い | 柴犬、秋田犬、甲斐犬、シベリアン・ハスキー、アラスカン・マラミュート、チャウチャウ |
⑥ 嗅覚ハウンド | 匂いを嗅ぐこと、大きな声で吠えることが好き | ビーグル、バセット・ハウンド、 ダルメシアン |
⑦ ポインター・セッター | 優れた嗅覚と視覚を持ち、必要な運動量がとても多い | アイリッシュー・セッター、ワイマラナー、ブリタニー・スパニエル |
⑧ ⑦以外の鳥猟犬 | 従順で人との協力性が高い、必要な運動量が多く水好き | ゴールデン・レトリーバー、 アメリカン・コッカー・スパニエル |
⑨ 愛玩犬 | 小型で人好き、甘えん坊で一人が苦手、物音に反応しやすい | チワワ、マルチーズ、ボストン・テリア、パグ、キャバリア |
⑩ 視覚ハウンド | 優れた視覚を持ち非常に敏捷、必要な運動量は非常に多い | アイリッシュ・ウルフハウンド、イタリアン・グレーハウンド、アフガン・ハウンド |
③ 解釈と視点:「困った行動」は“その子らしさ”かもしれない

「吠える」「落ち着かない」「ずっと匂いを嗅いでいる」
――これらは、実はその犬の「本能的な性質」からくるごく自然な行動かもしれません。
✅ 例:
- ボーダー・コリー → エネルギーが多い→ 頭と体を使う十分な遊びと運動が必要
- ビーグル → 匂いを追い続ける → 匂いを使った宝探しゲーム、散歩中の匂い嗅ぎO Kタイム
- チワワ → 音や動きに敏感でよく吠える → 安心できる環境づくり、慣らす練習(社会化)をしっかりとする
つまり、「やめさせる」のではなく、「いつならできるのかを教える」ことがカギになります。
④ 生活に活かす:本能に寄り添った接し方3つのポイント

その子の“でどころ”を知る
→ 理解につながる
「うちの子はなぜこうなんだろう?」と思ったら、グループを調べてみてください。

本能を満たす遊びを取り入れる
匂い遊び、引っ張りっこ、コングやパズルなどの知育トイも役立ちます。

“合わないこと”をさせる時には、
ゆっくりと時間をかけて
少しづつ慣らしていく
不得意なことをさせていけないわけでは
ありません。
新しい環境に慣れにくい犬を連れ回す、
などは犬が楽しくなるように、
少しづつ時間をかけて
練習していくことが重要です。
犬種特性以外でも、
その子の個性(水嫌い、集中力の長さ、
慎重さなど)をしっかりと把握し、
認め、少しずつ練習していきましょう。
⑤ まとめ:「あなたの犬らしさ」に気づくことが、愛情の第一歩

その子が「どんなグループ出身で、どんな本能を持っているか」を知ることは、
接し方・声かけ・しつけすべての“ベース”になります。
“その子らしさ”を尊重することこそ、両想いへの一番の近道です。
🐾次回予告
次は「年齢(ライフステージ)別の接し方」。
子犬・成犬・シニアで、接し方は大きく変わります!どうぞお楽しみに。
執筆者「インストラクター」紹介
井野めぐみ

犬と人とのコミュニケーションコーチ
JAHA認定・家庭犬しつけインストラクター。
動物病院勤務を経て、2007年に
家庭犬しつけ方教室「DOGGY FRIENDS」を開設。
叱らずに伝わる、科学的かつ優しいトレーニングを通じて、
犬と人の“心が通じ合う暮らし”をサポートしています。
現在、都内:木場公園で開催されるKIBAワンニャンHAPPYフェスのしつけトレーナーとして多くのペットオーナーへ教室を開催している。