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🐾【しつけコラム】第8回:学ぶってこういうこと 〜犬の学習プロセスを知ろう〜【井野めぐみ|犬と人とのコミュニケーションコーチ】

この記事は約6分で読めます。

はじめに

今回のテーマ『犬の学習プロセスを知ろう』

<strong>井野めぐみ</strong>
井野めぐみ

犬と人とのコミュニケーションコーチ
JAHA認定:家庭犬しつけインストラクターの、井野めぐみです。

「うちの子、どうやったらもっと理解してくれるんだろう?」
そんなふうに感じたことはありませんか。
実は、犬が学ぶ仕組みを少し知るだけで、普段のコミュニケーションが驚くほどスムーズになります。

犬も私たちと同じように、日々の経験から“世界はどんな場所か”を学び、
その学びをもとに行動を選ぶ、とても賢い存在です。
今回のテーマでは、犬がどんなプロセスで物事を理解し、
何を「成功」と感じながら成長していくのか——その仕組みをわかりやすく掘り下げていきます。

飼い主が知ることで、犬との暮らしがもっと楽しく優しくなる。
そんな“学びの第一歩”を一緒に始めましょう!



第8回:学ぶってこういうこと — 犬の学習プロセスを知ろう

①あなたへの問いかけ

・犬を躾けるときの「成功」、犬もそう思っているでしょうか?

・「犬の社会化」って、子犬だけじゃないって知っていましたか?

犬の行動には「理由」があります。
その理由を理解すると、犬とのコミュニケーションが一気にスムーズになります。

②  ポイントと事実

犬の行動には、必ず理由があります。
吠える。噛む。飛びつく。

それは「困らせたいから」でも「反抗しているから」でもありません。
犬は、自分にとって良い変化が起きそうな行動を選ぶ生き物です。

これは人間も同じですよね。

▼行動分析学って実はシンプル

行動分析学では、行動の前後に注目します。

⚫︎犬の行動の前に何があったのか(Antecedent)
⚫︎犬が行動した(Behavior)
⚫︎その後に何が起きたのか(Consequence)

この3つの流れを「ABC分析」と呼びます。

たとえば
A:飼い主が玄関から帰ってくる
B:犬が飛びつく
C:飼い主が飛び付いちゃダメと言いながら犬を押し戻す

犬は「飛びつくといいことが起きた(声かけて触ってもらえた)!」と学びます。
これが「犬にとっての成功体験」です。

だから、
人が“成功”と思っていることと、
犬がそう思っていることは同じとは限りません。

▼強化されれば、行動は増える

行動の後に「犬にとっていい変化」があると
その行動は繰り返されやすくなります。

おやつや褒め言葉、撫でることが代表例。

逆に

飛びついても構ってもらえない
→いい変化がない(=強化されない)
→その行動は少しずつ減っていきます。

「犬にとって望ましい結果を出なくするだけ」
叱る必要はありません。

▼社会化は一生必要

犬は社会性の高い動物ですが、
どの犬も勝手に良い社交性を身につけるわけではありません。
良い経験をすることが重要です。
そして感受性が特に豊かな時期に経験する必要があると言われています。

それが生後2ヶ月から4ヶ月までの社会化期と呼ばれる時期です。

もちろんこの時期はとてもとても大切です。
2ヶ月までは親や兄弟と共に過ごし犬としての社会科の良い経験をし、
3ヶ月から4ヶ月までは人や他犬など他の動物や環境などに
上手になれる最適な練習の時期となります。

しかし、この時期はあっという間。
実際にはその後も学び続けます。

初めての公園

初めての音

初めて会う動物

初めての人

あらゆる“初めて”を、少しずつ心地よい経験にしていく。
それが 生涯社会化 です。

「知らない世界が安心できる世界になる」
これが学習の最大の効果。

だから、成犬になってからでも
新しい経験をポジティブに積み重ねることが大切なのです。

▼犬はいつでも学んでいる

飼い主さんの「うっかり」が学習になることも。
ドアをカリカリ → 開けてもらえた
吠える → 散歩に行けた
膝にのる → 撫でてもらえた

犬は世界から常にフィードバックを受け取っています。
学ばない瞬間はありません。

③ 解釈と視点

犬の行動を「問題」と捉えると
叱りたくなる場面が増えてしまいます。

でも視点を変えてみるとどうでしょう。

吠えるのは「距離を取りたい」気持ち。
噛むのは「困ったからやめてほしい」合図。

飛びつくのは「大好き!もっと構って!」有り余るエネルギー。

行動はすべて、犬からのメッセージです。

私たちは言葉を使います。
犬は行動を使います。

行動ひとつひとつを翻訳すると
犬との関係が驚くほど優しく変わります。

さらに

「なんでこんなことするの?」ではなく
「どんなことを期待してるの?」と考えることで

今の状況のまま強化してしまっていることにも気づけます。

そして飼い主が 望む行動の方が楽しくて得 にしてあげれば
犬は喜んでその行動を選ぶようになるのです。

犬が学ぶのが好きになる。
人が教えるのが楽しくなる。


その循環こそが、しつけの本質です。

④ 実生活でのヒント

行動分析学を暮らしに生かすための3ステップ。

STEP1:良い行動にすぐ反応する

座ったタイミング
アイコンタクトした瞬間
静かに待てている最中

→「いいね!」「おりこう!」+おやつ や 撫でるなど
行動の直後が勝負です。

STEP2:やってほしくない行動には反応しない

飛びつきや要求吠えは
「構ってもらえる」ことで強化されがち。
難しければ背中を向けるだけでもOK。

成功したらすぐ褒める。これが鍵。

STEP3:新しい経験は小さくスタート

知らない犬、人、音、場所
→いきなり近づけない
→遠くから短時間で「楽しい」を積み重ねる
→少しずつ距離を縮める

「大丈夫だよ」と安心を一緒に増やしていきましょう。
ちょっとした意識だけで
犬は毎日をもっと笑顔で過ごせます。

⑤ まとめ

犬は、いつも学んでいます。 
私たちとの暮らしの中で 小さな成功を重ね続けています。 

 その学びを「叱られて覚えるもの」から 「褒められて楽しくなるもの」へ。  

行動には必ず理由があります。
“困った行動”の裏には 犬なりの気持ちがある。 

 その気持ちを理解しようとすること。 

それが最高のコミュニケーションです。 
 
犬は私たちと生きるために毎日頑張っています。
 私たちが、犬の学習プロセスを知ることで 
もっとラクに もっと優しく もっと楽しい関係が育ちます。  
「教えることは、つながること」。 

これからも、あなたと犬の毎日が 
学びにあふれた幸せな時間になりますように。
     



🐾次回予告

次回テーマは「暮らしに役立つ基本しつけ」「おいで」「ハウス」
「だっこ」「トイレ」など生活で役立つ基本コマンド
「日常生活のストレスを減らす“しつけの4本柱”」
どうぞお楽しみに!

執筆者「インストラクター」紹介

井野めぐみ

犬と人とのコミュニケーションコーチ
JAHA認定・家庭犬しつけインストラクター。
動物病院勤務を経て、2007年に
家庭犬しつけ方教室「DOGGY FRIENDS」を開設。
叱らずに伝わる、科学的かつ優しいトレーニングを通じて、
犬と人の“心が通じ合う暮らし”をサポートしています。
現在、都内:木場公園で開催されるKIBAワンニャンHAPPYフェスのしつけトレーナーとして多くのペットオーナーへ教室を開催している。

ねえねえ、何を言いたいの?行動学で読み解く、犬があなたに伝えたいこと 

井野めぐみ  (著)

本書では、行動学・行動分析学の知恵をベースに、
犬の行動に隠れた“本当の気持ち”をやさしく解説していきます。

「どうしてこうするの?」が「そうだったのか!」に変わる瞬間、あなたと愛犬の関係はぐっと安心に、
そして深い信頼へと変わっていきます。

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